2010年10月25日月曜日

フラーレン または カーボンナノチューブ

日曜日の朝、ゆっくり起き、まだ十分に目覚めない状態でテレビをつけました。チャンネルを回して、あれこれ眺めていたら、ちょっと変わった番組をやっていました。

カーボンナノチューブの第一人者である篠原名古屋大学教授が高校生や大学生を相手に公演をしていました。なんとなく見始めたのですが、あまりの面白さに3時間番組全部を見てしまいました。朝食も昼食も食べ損ないました。

化学の授業ではS〈硫黄)、C(炭素)、O(酸素)、P(リン)にある同位体を必須のものとして覚えます。Cの同位体は黒鉛とダイヤモンドでしたが、フラーレンというサッカーボール構造のものが20世紀後半に発見され、同位体の仲間入りをしました。最先端の研究は日本の名古屋大学や名城大学を中心として発展しています。篠原教授はまさにその担い手の1人で、ノーベル賞に値する人のようです。

篠原教授は研究者としては勿論、教育者としてきわめて優れた人物だと思いました。その3時間の公演で、フラーレンからカーボンナノチューブに至る歴史と化学上の進化をとても分かりやすく、楽しく説明されていました。フラーレンがなぜサッカーボールの構造をとるのか、それがどのようにしてカーボンナノチューブになるのか等など興味の尽きない話があり、その一方で、フラーレンの研究の中でセレンディピティ(一生懸命研究をする中で、偶然得られる成果)によってどれだけ多くの物が得られたかの話があり。若い科学好きに是非見てもらいたい公演でした。

この番組で『へえー』ということが沢山あったのですが、そのうちの一つはフラーレンの名前の由来です。山岳用のテントは昔はハウス型(家の格好の骨組み、三角形の構造)をしていました。それが軽量で強靭なドーム型テントに変わってきます。そうしたドーム構造の建造物(ドームハウス)を提案したのはフラー博士でした。彼の名前はずっと前から日本でも知られていました。ドームハウスはフラードームとも言います。そのフラー博士の名がフラーレンの由来だとは思ってもいませんでした。

本1冊分あるいは2冊分に値する公演でした。NHKでなくては放送できない代物ですが、これに関してもう一つ『へえー』ということがありました。『地デジ』ではNHK教育が2つあるということです。同時に2つの別の放送をしていました。最初はそれが理解できず、驚いてしまいました。


(注)セレンディピティとは、『アラビア海をさまよっていたアラブの王子が、苦難の末、豊かな宝の島、セイロン(アラビア語でセレンデップ、現スリランカ)を偶然発見したという昔話』に由来するもの。苦難の研究の中で偶然、求めていたものとは別の豊かな成果を手にすること。

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