2011年7月31日日曜日

富岡製糸場

明治維新の続きです。

富岡製糸場の話を生徒としていました。テキストには絹を織る若い女性の写真が載っていました。そこから話は『野麦峠』の話になり、どんどん脇道にそれていきます。それに伴って話しに熱が入ってきます。やがて話は『集団就職』にまで繋がってきます。

私『君たちと殆ど同じ年頃の子達が、親元を離れ、両手に僅かな衣装をくるんだ風呂敷を持ち、上野駅に着くんだ。駅で待っている町工場の社長に連れられて、右も左も分からない土地で、働き始める。・・・そうした苦労を経て、今の東京があるんだ。今の日本の繁栄はそうした人たちに支えられてきた。わかるか?』
『・・・・・・』
力が入り、余計なことも言ってしまいます。
『それに比べりゃ、お前らなんか楽なもんだ。そうだろ。学校行って、ゲームして、勉強して、テレビ見て』
『・・・・・・』
『明治維新はそんな古い話じゃない。君たちのおじいちゃんのおじいちゃんぐらいでその時代になる。富岡製糸場、野麦峠、集団就職、高度経済成長、オイルショック、バブル絶頂と崩壊、景気後退、リーマンショック、東北震災。ずっと繋がっている。歴史を勉強する意味がわかるか?俺たちは将にその結果としてここに生きていて、そして、未来を作ろうとしている。次は君たちの番だ。そのことをちゃんと意識しておけ』

気がつくと終了時間をとっくに過ぎていました。


2011年7月30日土曜日

明治維新

社会で明治維新を教えています。

驚くのは戊辰戦争の最中に明治元年となり、その後5年程度で、版籍奉還、廃藩置県、地租改正、学制、徴兵制、太陽暦採用などなどを次々と実現していくことです。

どの一つをとっても今の政治では何十年もかかるのではないか?いや、絶対にできないのではないかと思えるような大改革です。

版籍奉還・廃藩置県をする。まさに断行です。一票の格差に関する最高裁の違憲判断にも拘らず、4増4減のようなやり方でたった一つの選挙区も減らせない現代の政治とは大違いです。

6歳以上の男女が小学校に行く学制改革。それが現在の繁栄の基礎なのでしょう。いろいろな反対があったのですが、『良くぞやったり』というところです。

その後、約150年。制度疲労は限界に達しているかのようです。

2011年7月25日月曜日

大学は減らした方がよい。

長年、日本文学の研究をしてきた、ドナルド・キーン、コロンビア大学教授が日本国籍をとって、日本に定住するというニュースがありました。東北震災の少し後です。

彼は若いころイギリスのオックスフォード大学に留学しているのですが、そこで同僚学者からこんなことを言われます。『アメリカの大学には皿洗いの博士号があるんだって?』 これは勿論アメリカの大学の水準を揶揄したイギリス人特有の皮肉です。アメリカや日本には驚くほどの数の大学があるのに対し、ヨーロッパの大学は本当に少数で学生の質もレベルも圧倒的に違います。

日本も高度成長期とベビーブームで大変な数の大学ができました。そうした教育水準の高さが日本の発展を支えたのですが、だいぶ事情が変わってきました。子供の数は大幅に減少し、その多くが大学に進学する中で、大学教育に値する内容を身につけることのできない学生が増えてきました。彼らの多くは実は勉強が嫌いで、大学で勉強をしようという気持ちはほとんどありません。目的も無く。勉強する気も無く。自分が進学する学部に関する知識も無い。『うちなんてそんな学生ばかりだよ』と言った大学関係者は一人や二人ではありません。

私の仕事は大学に入りたい高校生に数学を教えることですが、かつて、ある生徒に『そんなに勉強が嫌いなんだから、大学じゃなくて専門学校へ行って、きちんとした技術を身につけたら』という機会がありました。きちんとした実務を若いうちに身につける、そのほうがやる気なく大学に進むよりはるかに良いはずです。彼は『大学に友達を探しに行くんです。それ以外は何の関心も無いけど』と答えました。

『友達を・・・探しに・・・』 彼に数学を教えることがとても空しくなる瞬間でした。彼は今、友達を探しに大学に行っているはずです。

2011年7月24日日曜日

面接

新しい入試では面接の割合が最低でも20%となります。これがどのようなものになるかで随分と入試の形態が変わってきます。

昔、面接の試験官のようなことをしたことがあります。そのときの感じたことは『僕って、本当に人を見る目がないな』というものでした。短時間の面接で人を見ることはとても難しいものです。良いと思った人が悪く、悪いと思った人が良い。そんな経験を沢山しました。

私の友人たちを見ても、初対面で良い印象だった人は稀で、殆どが始めは好感を持たなかった人たちです。彼らは自分をつくろって良く見せようという気持ちが無いので、第一印象が悪いようです。時間をかけてその人となりが分かってくるととても良い人だと理解できます。

さて、今度の制度での面接はいったい何を見ようとするんでしょうか?


2011年7月20日水曜日

夏期講習日程

今週は通常授業です。

その後、

7月25日~8月7日まで 夏期講習前期
8月15日~8月28日まで夏期講習後期

9月1日~通常授業再開です。

2011年7月17日日曜日

生徒会

 ある中学生が生徒会の役員に立候補しようとしたのですが、推薦人が集まらず断念したと言っていました。いつも推薦人を集めることができず、党代表選に出られない民主党の河村現名古屋市長のことをふと思い出しました。

 神奈川県では生徒会役員が受験の際のポイントとなるため、いろいろな話が伝わってきます。より多くの人が生徒会長ができるように次々に順番でやっていくとか。ある特定の部活が生徒会の役員になる権利を伝統的に有していて、それ以外の部活では立候補もままならないとか。耳を疑うような話もあります。もっともこの辺りは現在の政治状況と同じで上から下まで同じ穴の狢ということなのかもしれません。

 新入試制度では面接を調査書を元に行うという記述があり、ポイント獲得のための生徒会やボランティアはますます本来の目的から離れたものになっていくのではないかと懸念しています。

 

2011年7月13日水曜日

黄金のおにぎり

毎週火曜日にジムに行っているのですが、その帰りにちょっと塾に寄りました。
野地先生の授業が終わるまで2時間ほどあったので、本棚に置いてある「黄金のおにぎり」という本を手に取って読みはじめました。
この本、僕が何年か前に買って気に入っている本で、もう何度も読んでいるのですが、改めて読んでみようと思いまして。

内容はほとんど覚えているのでさーっと1時間くらいで読み終わって、その中で印象に残ったフレーズを手帳にメモしていきました。

脱サラした主人公が寿司屋で修行後、お握り屋を開店して大きくしていく話です。
著者はマーケターの高橋朗さん。
お握り屋の商売をテーマにマーケティングとは何かを分かりやすく説明してくれます。

その中で、主人公が知り合いの会社の社長に、「自分が今行っていることが正しいのか分からない。商売はおかげさまでうまくいっているが、だからこそ不安になる。」という相談をするシーンがあります。
その相談を受けた社長が「そんなものかもしれませんねぇ。ただ、自分の行っていることが正しいかどうかは誰にも分かりません。それは未来から過去を見たときに分かることだからです。やった方が良いと思うことを、さぼらずすべてやり尽くすしかないのではないでしょうか。」という話をします。

この言葉がとても今の僕に響きまして、「あぁ、本当にそうだよなぁ。」と思ったのです。
仕事にも勉強にも共通する名言だなぁ、と。

というわけで、久しぶりに「今週の詩・句」を更新しました。


夏休み

数年前の夏休みのことです。塾に行くと教室の黒板に一日の予定が書き込んでありました。朝から自習に来ているN君の書いたものです。

 7時~数Ⅲ、9時~英語、・・・・15時~物理、・・・

と大きな字で黒板一面に書いてあり、やり終えたものが横線で消してありました。少し前まで炎天下で白球を追っていたN君は敗戦を機に完全に勉強に切り替えていました。勉強のみの夏休みに入ったのです。彼の様子からは言葉にしにくいですが、ある種の毅然とした態度が伝わってきました。数Ⅲのかなりの難問をやっているとき、夏の初めは正答にとても至らなかったものが、夏休み後半になるとぽつぽつと正解が出るようになってきました。『あれっ?ひょっとしてすごくできるようになっている?』と思いました。夏休みが終わるころには難しい問題をきちんと処理できるようになっていました。見る見る学力が上がっているのです。朝顔が一日にあまりにも大きくなるのに驚くように、学力も目に見えて増進する瞬間があります。私の予想する速度を遥に凌いで彼の学力は増進していたのです。

今年も、夏期講習が近づいてきました。10人いれば10人の夏休みがあります。たとえそれが勉強のみで他に何をするのでもないとしても、そこには18歳の夏休みがあり、スポーツに明け暮れたり、遊びまくったりする青春となんら変わりない過激な青春の一日があります。そう思わせてくれるN君の夏休みでした。

もちろん、N君とは今、塾を手伝ってくれているN先生のことです。


2011年7月7日木曜日

入試の面接って?

新制度の入試は A(調査票の評定、合計135点)、B(学力検査)、C(面接)を 100 点満点に換算した数値をそれぞれa、b、cとして、

S=a×f+b×g+c×h (f+g+h=10 を満たす。ただし、f、g、hは2以上で各高等学校が定める)

ということになりました。これを学力優先と見るかどうか意見が分かれるところです。問題は面接で、その説明に『共通の検査として実施する面接においては、調査書の記載事項等を踏まえ、生徒の特性や長所なども含め、総合的な意欲を測る。』となっているからです。これは何のことはない、内申の一部だとすら考えられます。以前から問題にしている特記事項や生徒会・部活・ボランティア等の活動を内申点(135点)ではカウントできないので、それを面接という部分で点数化するということのように見えます。そう考えると、

学力検査優先にすると、(内申+面接):学力検査=4:6
学力検査を軽視すると、(内申+面接):学力検査=8:2

となり現在の制度より学力優先になったというわけではなさそうです。

2011年7月5日火曜日

現中2から、新入試制度に

現中2から新しい高校入試制度になりそうです。

最大の変更点は前期・後期の一本化です。全員が学力検査を受けることになります。内申点のみによって決まる前期選抜に批判的な人にはこれを歓迎するむきもあるのですが、その分、独自入試が無くなります。各校が独自に決めていた20%枠も無くなる可能性大です。その結果、純粋に内申のみの合格者が無くなるのと引き換えに、純粋に学力のみの合格者も無くなります。結局、全ての受験生があの怪しい内申点と恣意性を否めない面接を合否の判定材料とすることなります。

現在の内申点は学力を反映していません。判断基準が不明、または基準自体がおかしい。試験でもっとも重要なのは公平性です。それをどう担保するのかという視点が決定的に欠けています。面接や誰が書いたのか分からないような自己アピール書(本人が書いていないものが沢山ある)。更に、特記事項は不正の温床とも言え、『俺がお前を~高校に入れてやる』といった類いの部活顧問の話は枚挙にいとまがありません。

詳細の発表を注目したいと思います。

2011年7月3日日曜日

入試日程発表

現中3の入試の日程が発表されました。

毎年、この日程を手帳に書き込むたびに気持ちが高ぶってきます。今月は新しい入試についての発表もあるのでそれも気になっています。以前も書きましたが、必ずしも良い方向に改革されるとは期待できない部分があり、注視していきたいと思います。

連日の猛暑ですが、それがいつしか『少し涼しくなったかな』と思うころ。受験は佳境に入っています。今年は平塚中等の最初の入学者が高校生になる年で、大原高校の募集終了等、例年と異なる不確定な要素が増えています。きちんとした確実な学力をつけなければなりません。