2011年11月25日金曜日

立川談志逝く

落語家・立川談志が亡くなりました。落語といえば、大家と隠居です。

嘗て、隠居というシステムがありました。家長が明確であった時代に、ある年齢になると家督を次の代に譲り隠居となるわけです。

隠居という言葉で思いつくのは落語に登場する隠居とか、旗本・大久保彦左衛門とかです。江戸時代に何歳くらいで隠居していたか知りませんが、今から考えると相当若い時期に隠居しているはずです。平均寿命がかなり違うので簡単に比較できませんが、それにしても若い時期のはずです。

この隠居という制度の良い点は若い世代に次を任せることで、新たな風を呼び込むことです。日本のような儒教の影響の大きい社会では、年齢による上下関係は大きいですから、隠居というシステムがそれに風穴を開ける役割を果たしたのでしょう。中央官庁で同期生が局長になると同期の官僚が一斉に退職するのもそうした考えだと思います。

現代の日本では、嘗ての家制度は崩壊し、核家族や単身世帯の割合が圧倒的に大きくなっています。従って、隠居という言葉自体の意味がなくなっています。ところが、会社や役所のような組織になるとそうではなく、日本的家制度がまだまだ残っています。そして、とっくに隠居するはずの人が権力を握っていたりします。

従って、昔なら表に出てこないはずの人々が政界、財界問わず、あらゆる所で顔を出してきます。政治の世界ではそうした人々は五万といるし、ある新聞社のいざこざもその類いです。

老齢化社会を迎え、どのようにその齢(よわい)を生きるか。大切な問題です。

2011年11月21日月曜日

聞き方を変えてみよう

我が心の師、ポール・アーデンは次のような話からこんな提案をしています。


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ある企画のポスター制作を任された男が、同期に尋ねました。

「こんな感じで作ってみたんだけど、どう思う?」

その同期は全体を見渡した後に答えました。
「ん、いいんじゃない?」
と。

しかし、何かが足りない。
そう感じた男は今度は別の同期にこう尋ねました。


「このポスター、どこを直した方が良いと思う?」


その同期はう~んと唸りながらポスターをじっくり見渡した後、いくつかの点を指摘しました。
それに「なるほど」と思った男は早速ポスターを修正し、また別の同期に尋ねました。

「こんな感じで作ってみたんだけど、どう思う?」

その同期は答えました。
「素晴らしいじゃないか!!!」

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自分が全く気がつかない所に、他人はよく気がつくものです。
聞き方を変えてみましょう。彼らは真摯に相談に乗ってくれるはずです。

2011年11月18日金曜日

新入試問題

一部の中学校で現中2から実施される入試問題の例が配布されたという話を聞きました。

教育委員会のHPでは12月の発表となっており、まだ公開されていません。もし、その配布された問題例が本物ならば、教育委員会の管理体制はどうなっているのでしょう。

一方、中3は前期中間が終わり、臨戦態勢に入りました。生徒のやる気が無言の内にも伝わってきます。後2~3ヶ月。勉強が最も楽しめるときです。


2011年11月16日水曜日

低温火傷と焼き芋

低温で長時間火傷をすると皮膚の表面だけでなく、深い部分まで火傷します。

高校時代、豆炭あんかで低温やけどをしたことがあります。あんかそのものは少し暖かいだけでしたから、それで火傷するとは夢にも思いませんでした。その、あまり強くない熱源が長時間(一晩)脚の一部にあたり、火傷したのです。強い熱で火傷した場合は短時間のため、皮膚の表面のみ水脹れになったりするとしてもその下の肉の部分は大丈夫なことが多いのです。一方、低温火傷は低温ゆえに、それに気づきません。その分長時間かけて熱が伝わり、ひどい火傷になります。

昨日、塾で焼き芋を作りました。ポイントは低温で長時間焼くことです。つまり、さつま芋を低温火傷させるわけです。できる限り低温で、長時間かければ、奥の奥まで熱が伝わり、驚くほどやわらかい(スイートポテトのような)焼き芋になるはずです。

残念ながら、時間が足りず、満足いく柔らかさにはなりませんでした。休憩時間に小学生と、自習していた高校生にもおすそ分けし、今回の実験は終了です。

2011年11月13日日曜日

脱皮

小学生は闊達で生き生きとしています。彼らと共に勉強するのはその意味でとても楽しいことです。

中1はまだ小学生を引きずっていますから、それなりに元気でエネルギッシュです。

中2になると、様相が変わります。生き生きとした感じが減ってきます。あれほど元気だったのにという子が無表情になったりします。もう無邪気な子供じゃないよと体全体で表現しています。勉強に関しての意欲が減退しているかのようにみえることもあります。子供から大人へと変わり始めているのです。

中3になると、また、頑張り始めます。目前の現実的な目標があるからです。

高1になると、すっかり大人びて安定してきます。

この夏、庭の精霊ばったが脱皮する様子をじっと見ていました。人間が脱皮する生物だったら、この時期に起こっている画期的な変化を見届けることができるのですが、実際はそうはいきません。

僅か2~3年。本当は大きな変化が起こっているのです。そうした時期に共に学ぶことの喜びと困難をいつも感じています。

全文証明と英作文

現在1教科50点満点の神奈川県公立高校入試が再来年から1教科100点になります。試験時間は変更がないようなので、小さな点数差を大きく見せるだけなのか、そうでないのか。12月に発表される出題例が待たれます。

一部では数学の全文証明や英作文の出題があるだろうと噂されています。図形の証明問題は記号を選ぶだけの問題でしたし、英作文にいたってはその痕跡もありませんでしたから、実施されればそれなりの勉強が必要になります。

実は、首都圏の東京・埼玉・千葉の公立高校の問題は当たり前のように、全文証明があり、数行の英作文があります。神奈川県になぜないのか、たいへん不思議です。さらに、理科、社会も記述の部分はほとんどありません。

これをゆとりのせいだという向きもありますが、他県ではそういうわけでもないので、当たっているとは言えません。採点上の理由(記号の選択は確かに採点が楽です)という意見もありますが、もしそうだとしたら、それは怠慢のそしりを免れないでしょう。試験から発表まで驚くほど時間をかけているのもこの県の特徴だからです。

いったいどんな出題例が出てくるのか期待と不安と半々というところです。

2011年11月10日木曜日

新高校入学者選抜制度 その2

神奈川県教育委員会のHPに新入学者選抜制度の案内がアップされました。

http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/life/382752_510633_misc.pdf
http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/life/382752_543840_misc.pdf
http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/life/382752_543841_misc.pdf

更なる詳細の発表を急ぐべきだと思います。来年の7月に学校別の詳細が出るようですが、やることが遅い。準備が追いつかないうちに見切り発車したかのようです。そんなに急ぐ理由があるとも思えませんが・・・。

2011年11月6日日曜日

悠々会のお知らせ

11月10日(木)夜7:00~悠々会行います。時間を早めることができました。多数の参加を待っています。

2011年11月2日水曜日

24年度高校入学者定員

高校入学者定員が発表されました。この周辺では

茅ヶ崎、鶴峰、茅ヶ崎西浜、平塚湘風、七里ヶ浜、大船が1クラス分定員増です。

大原高校の高校募集が無くなり、その減少4クラス分がどのように補われるか気になっていましたが、旧平塚・二宮学区では平塚湘風の1クラス増だけでした。平塚中等一貫校に同世代の平塚の生徒が多数在籍していることを考えると、全体的にはトントンということかもしれません。

大原とレベル的に近く、平塚からも通いやすい鶴峰、茅ヶ崎はそれぞれ1クラスの増加です。

来週の前期中間を経て、一気に受験体制突入です。

2011年11月1日火曜日

ハロウィンの日に思い出さなければならないこと

ハロウィンを日本でも祝う人が増えているようです。僕自身は、陽気に騒ぐ人々のニュースを見てもあまり楽しくありません。どうせ、バレンタインと同じで、どこかの商売に乗せられているだけだと思えることが一つの理由ですが、もっと大きな理由は”服部君事件”です。

服部君は東大合格者数十人を出す愛知県の進学校、一宮高校の生徒でした。AFSの留学生としてアメリカに行っていましたから、彼自身も相当優秀な人だったと思います。当時、この事件は日本ではかなり騒がれました。以下のような事件です。

日本人留学生、服部剛丈(はっとり よしひろ、当時16歳)が、寄宿先のホストブラザーとともにハロウィンのパーティに出かけた。しかし、訪問しようとした家と間違えて別の家を訪問したため、家人ロドニー・ピアーズ(当時30歳)から侵入者と判断されてスミス&ウェッソン社製の.マグナム装填銃を突きつけられ、「フリーズ(Freeze「動くな」の意)」と警告された。しかしながら服部は仮装の際にメガネを外していたため状況が分からず、「パーティに来たんです」と説明しながらピアーズの方に進んだところ、玄関先、ピアーズから約2.5mの距離で射殺された。

 ピアーズは、日本の刑法では障害致死罪に相当する計画性のない殺人罪で起訴されたが、同州の東バトンルージュ郡地方裁判所陪審員は12名(白人10名、黒人2名)全員一致で無罪の評決を下した。評決の理由は裁判において、明らかにされていない。ルイジアナ州の法律では、屋内への侵入者については発砲が容認されているが、服部は屋内に入っていない。ただし、裁判では、服部が屋内に入ったとの証言があった。この裁判の場合、傷害致死罪を適用するのは最初から無理があり、無罪評決は正当防衛を認めたものか、傷害致死罪の構成要因を満たしていないと陪審員が判断した結果なのかは不明である。評決後の陪審員の記者会見の「外国人が米国の制度に口出しをするのが不快だった」という言葉に見られるように、過剰防衛という刑事上の問題を銃規制という文化批判にすり替えてしまった遺族側の失策に起因するとも考えられる。

 この後行われた、遺族が起こした損害賠償を求める民事裁判では、刑事裁判とは正反対の結果となった。ピアーズが家に何丁も銃を持つガンマニアであり、しばしば近所の野良犬や自宅敷地内に入ってきた犬猫を射殺しており、当日は酒に酔っていたことなどが実証されたため、正当防衛であると認められないとして653000ドル(およそ7000万円)を支払うよう命令する判決が出され、同州高等裁も控訴を棄却したため確定した。ただし、ピアーズは自己破産をしたため免責となり、実際の支払いはほとんどなされていない模様。 

 服部の両親はAFSと友人たちの協力で「アメリカの家庭からの銃の撤去を求める請願書」に署名を求める活動を開始、1年余で170万人分を超える署名を集めた。199311月、当時の大統領、ビル・クリントンに署名を届けるために面会した。服部夫妻がワシントン.に滞在していた間に、アメリカにおける銃規制の重要法案であったブレディ法が可決された。” (ウィキペディアより引用)

ちなみに、ブレディ法はレーガン大統領暗殺未遂事件の際、頭に銃弾を受け半身不随となった大統領補佐官ジェイムズ・フレディが成立のため奔走した銃規制のための法律です。後のブッシュ大統領(全米ライフル協会会員)のとき、この法律は廃止されます。確か、レーガン大統領も全米ライフル協会の会員だったはずです。

僕にとってのハロウィンは服部君事件であり、銃規制です。仮装して大騒ぎをしている日本人を非難する気はありませんが、年に一度、この日は日米の多くの人々の銃規制に対する努力に敬意を払う日であり、一向に変わらない銃の現実を憂う日であり、そして何よりも、服部君の鎮魂の日なのです。合掌。