2011年2月23日水曜日

少年Nと悠々館②

「このまま残り2年間を過ごすのは絶対にまずい。」
数学の授業後にそう感じたNは勉強の方法を考えます。


彼は大手の予備校に行く気はあまりありませんでした。
大手予備校は駅前に存在する為彼の自宅とは反対方向であった事と、(失礼ですが)彼の周りの予備校通いの子達が必ずしも年間料金に見合った成果を出していないと感じていたからです。
マジョリティに加わる事が苦手な性格である事もこれを後押しし、答えの出ないまま時を過ごす事になります。2年生からは物理も始まり、状況はいよいよ取り返しがつかなくなる所まで来ていました。


ある日、勉強の話をしていた折に一人の友人に話を持ちかけられます。
「N、それだったら悠々館に来ない?」
「悠々館?」
その塾に紹介で入る人間のおよそ9割はするのではないか、というテンプレートな受け答えの後、友人は続けてその悠々館なる塾の説明に入りました。


友人によれば、どうやら悠々館と言う場所は
・高校から近く、自転車で5分程度の距離である
・個人塾であり1クラス当たりの生徒数が少ない
・授業料も予備校に対して圧倒的に低く抑えられ、サービスも良い
そんなニーズに答える所であるそうです。優柔不断なNはその場での明言は避けたものの、既に「ここしかないんじゃないか?」という考えが心を支配していました。

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