ジャーナリスト鳥越俊太郎が人生最後に聞く音楽を探してアメリカへ行く番組をNHKでやっていました。彼は癌と戦っており、自分の最期に聴く曲を探しをしているのでした。
初めに南部ニューオリンズを訪れます。そこで、死者を墓場へ運ぶとき先導するジャズバンドに遭遇します。みな葬式用の正装で、先頭に日傘を持った黒人の老人、その後にトランペットやサックスを演奏する4~5人の黒人演奏者がスイングしながら続きます。
晴れた日中、その演奏はとびっきり陽気で、音を聞いて家から出てきた人々もその場で踊りだします。
それは、日本の悲しみに満ちた、静かな葬儀とは全く異なるものでした。澄み渡った青空の上の上。神のもとへ陽気に近づいていく。不思議な感覚のする行進でした。
先導する老人に最期の曲を訊くと、" I will fly away " という曲を薦めました。”私は神のもとへ飛んでいきます”という内容です。
奴隷制度があった時代。逃れようの無い過酷な人生は死を迎えるまで終わることはありませんでした。死ぬことは奴隷からの開放で、それは喜びだったのです。自由になって、神のもとに飛び立っていく。心躍るときなのです。「死も悪いもんじゃない」と。
南部の強烈な陽光の下、その葬儀の乾いた悲しみが良く伝わってきました。
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