2010年9月1日水曜日

読書感想文「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら」

社会人の中には、ピーター・ドラッカーの本を一度は手にとった方が結構いることでしょう。
ご多分にもれず僕も、社会人2年目の頃にドラッカーの「プロフェッショナルの条件」という本を買ったのですが、内容が難しく、半分も読まないうちに読むのを止めてしまいました。
ドラッカーの本は普遍性が高く、内容もものすごく濃いのですが、内容を理解し、自分の仕事に応用していくことはなかなか難しいです。
そのため、ドラッカーの本を読んで仕事に応用し成功した人、例えばユニクロの柳井さんのような方の本が売れるわけですね。

と、前置きはこの辺にして、読んでみた感想を。

ドラッカーの言っていることを物語タッチで読み手に伝えるという構成は個人的には面白いと感じた。
というか、そもそも僕は物語タッチのビジネス書が好きだ。
こういったジャンルの本にとって肝心なことは、読んだ人が本家であるドラッカーの言っていることの1%でも理解して、自分の人生、仕事に活かせる内容になっているかということだと思う。
その点で、僕がこの本を読んで思ったことや、今後取り組んでみたいと思ったことを書いてみよう。

まず印象に残っている文章に、以下の二点がある。
・マネージャーは専門家の知識を伝える役割を果たす
・専門家はマネージャーの上司足り得る

悠々館の塾長は"専門家"だ。"職人"と言ってもいいかもしれない。
生徒を育てることに関して情熱を注いでいて、教える技術はきっとどこぞの予備校の講師よりも高いと思うものの、マネジメントはあまり得意ではないように思えた。
先に断っておくと、僕は塾長を心から尊敬しているし、今の僕があるのは塾長のおかげだと思っているし、何一つ批判する気持ちはない。
役割の問題を言っているのである。

僕は塾長の元生徒であり現在の立場としては部下に当たるわけだけれども、講師全員の力を束ねて悠々館を良い方向に持って行きたいと思っていた。
つまり、マネージャ的な役割を演じたいと思っていたのだ。
そう思っていたところにこの本でドラッカーの考え方に触れて非常に共感した。
「そうか、専門家がマネージャの上司というのはやはりあり得るんだな、と。」

現在の悠々館の状況を考えると、それが自分に与えられた役割であり、かつ、自分が成長していきたい分野であると感じた。

もう一つドラッカーの言っていることの中で、最も大事なことについて触れておきたい。
「事業の目的は何か?」ということだ。

この本の中では、高校野球の目的を「感動を与えること」と定義し、目標を「甲子園に出場すること」と置く。
甲子園に出場することは感動を与えるための手段ということだ。

では、悠々館、ひいては塾という事業の目的は何だろうか?
しばらく考えて僕は、「人を育てること」だと思った。
もう少し広げると、「自信をつけさせること」、「人を成長させること」だ。
「勉強ができるようになること」や、「テストの点数を上げること」は、目標であって目的ではないのではないか。
テストで良い点を取れれば自信になるし、次の努力につながるので、良いことだ。
だが、「人を育てる」という目的を果たす方法を考えると、他にもやれることが見えてくる気がする。

このあたりは生徒の親御さんや、講師それぞれ考え方が違うところだと思うし、学校と塾の住み分けも考えなければならないので難しいところだが、例えばみんなでキャンプに行くようなことをしてみたい。
また、塾の先輩が後輩に勉強を教えるような交流がもっと行われるようにしていきたい。
人にものを教えたことがある人は賛成してくれると思うのだが、教えることはその分野の理解にものすごく役に立つのだ。
実は講師陣は教えながら自分もレベルアップしているのである。
このことをもう少し積極的に塾の仕組みに組み込んでいけたら、何か面白いことが起こるんじゃないかと密かに思っていたりするのだが、これはもう少し将来的に。。。


とりあえず、この本を読んだ後に、思わずドラッカーの「マネジメント」を買ってしまったという点で、この本が僕に与えた影響は大きいと言えるし、僕にとっては良書だったということだろう。
大学生~社会人若手あたりが読むべき本だと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿