2010年4月9日金曜日

夏目漱石知ってますか?箸持てますか?納豆食べられますか?

まだ日本語を話す外国人が珍しかった頃、おそらく20年位前のことです。日本学の権威ドナルド・キーン、コロンビア大教授がこんなようなことを新聞に書いていました。

私は長く日本に住み、日本文学を学んでいます。たいていの日本人が読むのが困難な古典から現代作家の作品まで沢山の日本語を読んできました。にもかかわらず、初めて会った人に聞かれるのは
『日本語お上手ですね』『夏目漱石知ってますか?』『森鴎外知ってますか?』『三島由紀夫知ってますか?』『箸よりフォークが良いですか?』『刺身は食べられないんでしょ』『納豆食べられますか?』
という類のことだそうです。

最近は日本語を自由に操り、すしを箸でつまみ、納豆をパンにはさみ、村上春樹を愛読し、週末は秋葉原に出かけていく。そんな外国人すら登場するようになりました。

さて、それに反比例するかのように、夏目漱石や森鴎外を知らない若者が増えてきました。随分以前高校生に『今度、夏目漱石がお札になるねえ』といったところ、10人中5~6人がえっ?それ誰?という顔をしているのです。びっくりしました。そこで『森鴎外知ってる?』とおそるおそる聞くと、2~3人が知っているだけでした。

それから数年後、塾の授業が延びに延び、深夜12時過ぎに生徒と一緒に夜食のカップラーメンを食べていたときです。生徒のうち数人がちゃんと箸が持てないことに気づきました。
『箸も持てないやつに、数Ⅲを教えなくちゃいけないのか?』とラーメンの汁を飲みながら、半ば冗談で生徒と話したものです。

それから更に年月が経って、
『夏目漱石知ってますか?』『箸は持てますか?』『納豆食べれる?』さらに『日本語話せますか?』と生徒に聞かなければならなくなってきました。

0 件のコメント:

コメントを投稿