数年前の夏休みのことです。塾に行くと教室の黒板に一日の予定が書き込んでありました。朝から自習に来ているN君の書いたものです。
7時~数Ⅲ、9時~英語、・・・・15時~物理、・・・
と大きな字で黒板一面に書いてあり、やり終えたものが横線で消してありました。少し前まで炎天下で白球を追っていたN君は敗戦を機に完全に勉強に切り替えていました。勉強のみの夏休みに入ったのです。彼の様子からは言葉にしにくいですが、ある種の毅然とした態度が伝わってきました。数Ⅲのかなりの難問をやっているとき、夏の初めは正答にとても至らなかったものが、夏休み後半になるとぽつぽつと正解が出るようになってきました。『あれっ?ひょっとしてすごくできるようになっている?』と思いました。夏休みが終わるころには難しい問題をきちんと処理できるようになっていました。見る見る学力が上がっているのです。朝顔が一日にあまりにも大きくなるのに驚くように、学力も目に見えて増進する瞬間があります。私の予想する速度を遥に凌いで彼の学力は増進していたのです。
今年も、夏期講習が近づいてきました。10人いれば10人の夏休みがあります。たとえそれが勉強のみで他に何をするのでもないとしても、そこには18歳の夏休みがあり、スポーツに明け暮れたり、遊びまくったりする青春となんら変わりない過激な青春の一日があります。そう思わせてくれるN君の夏休みでした。
もちろん、N君とは今、塾を手伝ってくれているN先生のことです。
N先生の頑張りが伝わってきますね,しみじみ.
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