2011年5月3日火曜日

少年Nと悠々館⑤



2年生時の夏の大会は1回戦敗退でした。
スコアラーを務めた背番号19は大して日向に当たる事無く、一つの夏を終えました。
試合自体は延長までもつれ、Nのチームはスコアリングポジションに何度もランナーを置きながらあと一本が出ず、最後は点を取られて負けてしまいました。
今にして思えば優しい校風が悪く作用してしまった典型であったなと思います。


7月の終わり頃、つまり代が変わった直後についてはあまり記憶がありません(特に勉強)。
打撃の調子が良かったことや自宅に友人を招いていたことは記憶しているのですが。
恐らく夏休みに入ってしまい、学習に対し確固たる野望(目標)を持たなかったことが原因でしょう。


ひとつだけ鮮明に覚えていることは、夏の70本ノック。
二人一組で70本取れば終わりというルールだったのですが、ノックの球は左右に振られる形式でしたので中々終わりませんでした。
監督には何度も「もっと腕を伸ばせ!」と言われました。
その度に(一杯一杯なんだけどなぁ。)と思っていました。


終盤に差し掛かった頃、絶妙な位置にボールが打たれます。
Nは無理そうだと思いながら、しかし懸命にボールへ向かいました。


パシッ
(えっ?)
「そうだ!それだ!!」


届いた。驚きが全身を駆け巡りました。
そして守備範囲とはこのようにして広がるのだと理解したのでした。

2 件のコメント:

  1. 体で分かるって、そこのところだよね。あるとき、一瞬に理解する。もっとも、そのために、一見無駄に思える69本のノックが必要。

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  2. 昨日の中3の展開プリントは当にその壁の崩壊を促すための一手でした。大変不評でしたが、何とかこの感覚を得てもらいたいものです。

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