2012年5月26日土曜日

小さな虫

授業中に一部の男子中学生が騒ぎ出しました。

ゴキブリがいるというのです。近づいてみると、ゴキブリとは大違い、5ミリ程度の小さな甲虫の仲間が絨毯の上にいました。摘み上げて、見せようとすると、数人が大騒ぎで「いやだ、いやだ」、「だめ、だめ」、「ゆとり世代は虫に弱いんですよ」とか言って逃げ出します。窓を開けて外に逃がしました。

正直な感想です。「これは異常だ!」

ただ、そういう人たちが増えているのは事実のようです。以前、農学部志望の女子高生を教えていたときのことです。
「農学部って実験あるんですか?」というので、
「そりゃあるに決まってるよ」と答えると
「私、実験したくないんです。虫とか動物とか触りたくないし・・・実験のない大学ありませんか?」
「なんで農学部行くの?」
「理系のほうが就職がいいし、物理は苦手だから、工学系はちょっと・・・」
「・・・・・」

解剖学者・養老孟氏がどこかで「脳と自然」について書いていました。「脳は思い通りにならない自然が徹底的に嫌いだ」というようなことでした。脳化する日本社会で実物=自然(理解できないもの)を扱えない世代が育ってきているのかもしれません。教科書の中の虫と、本物の虫の間には無限の隔たりがあるようです。

そういえば、中・高で理科の実験の回数がとても少ないのも気になりますね。受験科目に化学がない薬学部が存在する時代です。ひょっとして「うちの大学では実験をしません」を売り物にする理系大学が出てこないとも限りません。

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