2011年8月31日水曜日

努力に勝る天才無し

もう10年以上前の話です。数列の授業後、ある女子高校生がどうしても理解できないと言って、やってきました。その問題は確かに複雑でしたが、授業中にほぼ全員が理解できたと思えるほど丁寧に、繰り返し、しつこく説明していましたので、意外でした。

 1時間程度、様々な説明を試みたのですが、納得できないようでした。夜も遅くなっていたので、『明日また説明するから今日は終わりにしよう』と伝えると、『私は馬鹿だから、他の人と同じように理解できません。でも、努力だけは誰にも負けないようにやってきました。どんな遅くなっても今日分かりたいんです』

 その意気に押されて、更に1時間程度説明したのですが、彼女に納得させるのは無理かなと思うようになりました。”馬鹿じゃないけど、複雑な理屈を理解できるタイプじゃないかも・・・”と思い始めたのです。
 無理やり納得させるような形でその日は家に帰しました。1週間後に期末テストでした。

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テストが終わると、点数を確認します。彼女に点数を聞こうとすると、筆箱から細長い紙を出して嬉しそうに手渡しました。広げてみると、各教科の点数と順位がプリントしてありました。総合順位が文系全体で1位でした。

 江南で1位という成績を見るのは初めてではありませんでしたので、大して驚かなかったのですが、彼女が1位という事実にはたいそう驚きました。
   ”努力に勝る天才無し”
その通りだと感じさせる子でした。

その後、何度も何度も壁にぶつかりながら、卒業までほぼ1位を守り続けました。
 『私、馬鹿だから一般入試じゃや厳しいんで、推薦でいきます』
そう言って、推薦で早稲田に進学しました。

 最近、結婚して、子供ができたという話が伝わってきました。相変わらず、壁にぶつかるたびにあのパワーでそれを乗り越え(ぶち壊し?)て前に進んでいるようです。
 
 バブル以降、現在に至るまで努力の価値が落ちてきているように思えます。『そんなにやってどうするんだ』、『頑張るなんて、かっこ悪い』という意見もあります。

 大して、やっていない人にはこのかっこよさが分からないのでしょう。 才能は持って生まれた部分がそれなりに関係します。努力はそうではありません。

 紙と鉛筆と少しのやる気。それで十分です。

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