2010年7月24日土曜日

一生読む受験参考書

高校3年生と古文をしました。古文は専門ではないので、一緒にやってみるといった感じでしたが、意外にもぼくの方が良くできていました。彼らは高3で、しかも文系なのでこの結果は少し自慢しても良いかもしれません。(彼らの方が心配すべきかも知れませんが・・・)

ぼくの古文の知識は高3でピークに達します。たった一冊の本でそのほとんどの知識を得ました。小西甚一「古文研究法」(洛陽社)。著者は著名な国文学者で東京教育大(現・筑波大)教授です。とても奥の深い本で、大学受験だけのために書かれたものではありませんでした。受験が終わると全ての本を捨ててしまい、数十年後の今、手元にあるのはこの本一冊です。読み込んでゆくと、古典の世界の広がり、古文を読む喜び、そして、探究心がくすぐられる本でした。今でも、何かあるとこの本を開きます。

今、古文を学ぶ人に人気なのは「マドンナ古文」や「ゴロゴ・・・」といった本です。分かりやすく、語りかけるように噛み砕いて書いてあり、具体的に点数をとることを目的にしたものです。古文にかかわらず、このタイプの本が増えてきました。

それはそれで良いのですが、受験勉強が更にその先の勉強につながる、そんな本が減ってきました。ちょっと難しい本を苦しんで学び、その中で、受験ではなく、その学問への関心を増してゆく。そうした読者に媚びない本。きっと売れないんでしょうね。

参考書を見ていると現在の日本の学問水準が感じられます。

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