2018年5月2日水曜日

おんぶとだっこ その1

昨日、久々に子供をおんぶしているお母さんを見ました。

随分前、おんぶがブームだった時があり、子育てに意欲的なお母さんたちが、昭和の初期のようなおんぶひもを使って子どもを育てていました。その後、それは大きく広がることはなかったようで、だっこして子供と向かい合っているお母さんばかりになったように思えます。

おんぶとだっこ。どちらが良いかという議論は専門家に任せるとして、ふと思ったのは学生時代によく読んでいたフランスの哲学者サルトルの一文です。

トラックの荷台に数人の人が後ろを向いて載っています。車が出発すると景色が遠ざかっていきます。視界の中に突然、現在が現れ、それは次々と過去になり、彼らが生きているのは過去の時間です。もし、前を向いて座っていれば遠くに未来が見え、やがてその風景が近づき現在となります。そして、視界から消え過去となっていきます。この場合、未来の時間に生きていることになります。

母親と向かい合って、お互いの内面を見つめあう。それとも、母親の肩越しに近づいてくる世界を見る。案外大きな違いがあります。共通なのはどちらにも、大きな母親の愛情が働いていることでしょうか。

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