2013年5月12日日曜日

桜 鳥 電車

私には90歳を越した父がいます。旧陸軍将校で、今でも数冊の本を平行して読み、ボケ防止のためと称して高3程度の数学の問題を解き、車の運転は勿論、数kmのジョギングをし、様々な公の活動にかかわっています。

その父が急な腹痛で、生死の間をさ迷うことになりました。胆管に1.5cm大の腫瘍らしきものがあり、激しい傷みと、黄疸が出ていました。

救急外来に着くと、各種検査をし、そのまま入院ということになりました。入院手続きをする際、老人のためか、次のような質問を看護士がしました。

”これから言う、3つの言葉を覚えてください。桜、鳥、電車”
父は頭はハッキリしていますが、耳が遠く、聞き取れる音とそうでない音があります。
”さっき、言った言葉を言ってください”と看護士。
”桜、鳥、ねんざ”と父。
”桜、鳥、電車ですよ”と看護士。
”桜、鳥、便座?”と父。
このとき、一緒に行っていた私の娘が我慢できず、その場に似つかわしくない大笑いをしてしまいます。
看護士はやや苛立って、”電車、電車!ですよ”と大声で叫びます。
”あー、なんだ。電車か”と父。

耳が遠いという一事で、ボケ老人として扱われるところでした。

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