2009年12月8日火曜日

自己表現その2

小田原高校や大磯高校の前期選抜における自己表現というよく分からないテストについてもう一言。与えられたテーマで面接時にスピーチをするというものです。前回はそのテーマを本人以外の誰かに考えてもらってスピーチする人が大半だからそうしたことを点数化することに意味があるのかという問いかけでした。今回は別の側面から一言。

私の昔の友人Kのことです。彼は極端な吃音(所謂どもり)でした。

少し緊張すると
『ぼっぼっぼっぼっぼっ・・・・・ぼくは・・・きょきょきょきょ・・きょきょきょ・・・きょう・・・がっがっがっがっがっこうに・・・・・いいいい・・・・いいいい・・・・いいい・・・いったとととと・・・とととき・・・・』
という感じでした。それを聞いている人たちは始めは我慢していますが、やがて、耐え切れずに笑い出してしまうのでした。

吃音を治すため、ありとあらゆる治療を受け、個人的に勉強し、研究会に入り、最後はその研究のため金沢大学の医学部に入学して医師になりました。しかし、彼の吃音はさほど改善されていません。

彼と話すときには親友の私も緊張する場面がしばしばあります。地下鉄のホームで話していたとき、通り過ぎる電車の音で彼の話が聞き取れませんでした。思わず、
『なに?』
と聞き返してしまいました。
途端に、彼の目に緊張の色がはしりました。
『ぼっぼっぼっぼっ・・・ぼぼぼ・・・・・』
ぼくたちはお互いに泣きたい気持ちでした。

さて、自己表現はこうした人たちの受験機会をどのように担保しているのでしょうか。
拙速で配慮に欠けた方法だと思えます。もっとましな方法があるでしょうに。

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