2014年5月28日水曜日

生物(なまもの)Ⅰ

”なま物”といっても刺身や寿司ではありません。実際に生きている昆虫や動物や植物のことです。

そうしたなま物の体験が理系教科学習の基礎にあるべきだと思います。実物を知っている。実際に触れたことがある。これは重要な体験です。その上に知識を積み上げる。すぐに剥がれ落ちてしまうにわか仕込みの知識とは違います。

千葉県にあるある私立中学・高校では学内に驚くほど充実した水族館のような動物園のような施設を持っています。生徒はその動物を手で触れます。実際の触感や微妙な色は図鑑やDVDでは分かりません。本物に触れる体験を常時しているのです。

かつて、そうした体験は田舎の子供たちや、都会でも一日中遊びまわっていた子供たちの特権でした。その中から、沢山の科学者が出てきたのです。昆虫採集を趣味としている科学者や実業家は案外いるものです。かれらは都市部でお金のかかった教育を受けている子供たちに得られないものを得ていたのです。

ところが、事態は変わりました。田舎の子供たちも、日が暮れるまで遊んでいる子どもたちもなま物に触れることが圧倒的に少なくなりました。遊びの大半がゲームではそれも納得できます。多くの子供たちは2mmに満たない小さな虫に触れることにすら恐怖を感じています。

夏になると塾にも虫が飛び込んでくることがあります。大騒ぎになり授業は中断します。たいてい私が捕まえて外に出すのですが、過去に2度ほど生徒が捕まえたことがあります。どちらの場合も、勉強のできる進学校の生徒でした。何事もなかったかのように平然と虫をつかんで”あっ、これは・・・ですね”とその虫の名前を言って、教室の窓から外に放したのです。

虫と戯れていたわんぱく小僧よ。今何処(いまいずこ)?

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