2010年8月22日日曜日

読書感想文第一回「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」

講師陣の集会にて「共通の読み物に対して読書感想文を書いて意見交換しよう」ということになったので、第一回には上半期のベストセラーの通称「もしドラ」を選択しました。



以下本編の核心的内容も含んでいますので、未読の方は閲覧にご注意ください。



まず読み物としての感想はサクサクと軽食を食べた後のような心地で、読み終わった後にはぁ~っと深いため息をはく程度ではなかったです。味自体は美味しかったけれども。
そういう意味も含めて、この本には「ライトノベル」という言葉がよく当てはまります。


ではなんとなく深みが削がれてしまった理由はなんでしょう。
ひとつに実世界とのギャップに違和感を覚える展開があり、首を傾げながら読む所があったからです。


一番大きかった場面は試合の描写で、何故なら東京で甲子園に出られる様な高校相手に本格育成一年足らずのチームが勝つことが現実的(理論的)に不可能だからです。
みなみ達はバッティングについてストライクボールの見極めに終始していたという描写からも、相手チームの投手が130キロ代後半のストレートをバンバンストライクに入れていくだけで間違いなく完封できる事がわかりますし、みなみ達もそれを承知していました。
しかし現実的には相手チームがみなみたちを見下しているならば尚更この作戦をとるはずで、連戦ですし無駄な球を投げさせる強豪監督はいないと思います。

言うなれば「妄想上で無抵抗な敵を一方的に殴る」ような描写が多々存在し、小説として内容が薄いものになってしまっていたのです。マネジメントをメインに置いた本なのですから、マネジメント対象が静的に評価されていた所は非常に残念でした。


ともあれ、女子マネージャーという日本人のほとんどが共通してもつイメージを題材にした点、ドラッガーのような経営書の硬さを一切省いた点、アクのない読みやすさは2010上半期ベストセラーを納得させるバランスで、「もしドラから学ぶマネジメント」という本が生み出せそうな位、商品として上手い仕上がりであったと思います。まさに技術ではなくアイディア。これからの社会を象徴する一冊だったかなと思いました。



第一回は5段階評価で星2.5をつけておきます。
では経営なんたるか等々より深い考察を語ることは他の先生にお任せするとして、僕の感想文は以上とさせていただきます。

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