ハロウィンが間近に迫ってきました。
数年前に書いた文を再度ここにアップしたいと思います。日本でのハロウィンは驚くほど盛んになり、一方で、服部君事件は話題になることもあまりなくなってきました。私の中でも服部君事件は風化していますが、せめて、ハロウィンの日だけは彼の事件を思い出したいと思います。
下記の文は以前このブログで書いたものの採録です。
『ハロウィンを日本でも祝う人が増えているようです。僕自身は、陽気に騒ぐ人々のニュースを見てもあまり楽しくありません。どうせ、バレンタインと同じで、どこかの商売に乗せられているだけだと思えることが一つの理由ですが、もっと大きな理由は”服部君事件”です。
服部君は東大合格者数十人を出す愛知県の進学校、一宮高校の生徒でした。AFSの留学生としてアメリカに行っていましたから、彼自身も相当優秀な人だったと思います。当時、この事件は日本ではかなり騒がれました。以下のような事件です。
”日本人留学生、服部剛丈(はっとり よしひろ、当時16歳)が、寄宿先のホストブラザーとともにハロウィンのパーティに出かけた。しかし、訪問しようとした家と間違えて別の家を訪問したため、家人ロドニー・ピアーズ(当時30歳)から侵入者と判断されてスミス&ウェッソン社製の.マグナム装填銃を突きつけられ、「フリーズ(Freeze「動くな」の意)」と警告された。しかしながら服部は仮装の際にメガネを外していたため状況が分からず、「パーティに来たんです」と説明しながらピアーズの方に進んだところ、玄関先、ピアーズから約2.5mの距離で射殺された。
ピアーズは、日本の刑法では障害致死罪に相当する計画性のない殺人罪で起訴されたが、同州の東バトンルージュ郡地方裁判所陪審員は12名(白人10名、黒人2名)全員一致で無罪の評決を下した。評決の理由は裁判において、明らかにされていない。ルイジアナ州の法律では、屋内への侵入者については発砲が容認されているが、服部は屋内に入っていない。ただし、裁判では、服部が屋内に入ったとの証言があった。この裁判の場合、傷害致死罪を適用するのは最初から無理があり、無罪評決は正当防衛を認めたものか、傷害致死罪の構成要因を満たしていないと陪審員が判断した結果なのかは不明である。評決後の陪審員の記者会見の「外国人が米国の制度に口出しをするのが不快だった」という言葉に見られるように、過剰防衛という刑事上の問題を銃規制という文化批判にすり替えてしまった遺族側の失策に起因するとも考えられる。
この後行われた、遺族が起こした損害賠償を求める民事裁判では、刑事裁判とは正反対の結果となった。ピアーズが家に何丁も銃を持つガンマニアであり、しばしば近所の野良犬や自宅敷地内に入ってきた犬猫を射殺しており、当日は酒に酔っていたことなどが実証されたため、正当防衛であると認められないとして65万3000ドル(およそ7000万円)を支払うよう命令する判決が出され、同州高等裁も控訴を棄却したため確定した。ただし、ピアーズは自己破産をしたため免責となり、実際の支払いはほとんどなされていない模様。
服部の両親はAFSと友人たちの協力で「アメリカの家庭からの銃の撤去を求める請願書」に署名を求める活動を開始、1年余で170万人分を超える署名を集めた。1993年11月、当時の大統領、ビル・クリントンに署名を届けるために面会した。服部夫妻がワシントン.に滞在していた間に、アメリカにおける銃規制の重要法案であったブレディ法が可決された。” (ウィキペディアより引用)
ちなみに、ブレディ法はレーガン大統領暗殺未遂事件の際、頭に銃弾を受け半身不随となった大統領補佐官ジェイムズ・フレディが成立のため奔走した銃規制のための法律です。後のブッシュ大統領(全米ライフル協会会員)のとき、この法律は廃止されます。確か、レーガン大統領も全米ライフル協会の会員だったはずです。
僕にとってのハロウィンは服部君事件であり、銃規制です。仮装して大騒ぎをしている日本人を非難する気はありませんが、年に一度、この日は日米の多くの人々の銃規制に対する努力に敬意を払う日であり、一向に変わらない銃の現実を憂う日であり、そして何よりも、服部君の鎮魂の日なのです。合掌。』
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