2013年7月7日日曜日

スラッシュ・リーディング

高校生と一緒に英文を読んでいます。

スラッシュ・リーディングといって、文章にスラッシュを入れ、その塊ごとに訳している生徒が目立ちます。そのような指導をする先生が増えているのでしょう。例えば、

A good book read when one was young can influence one through life
若いときに読んだ良い本は人生を通してその人に影響を与えることができる

A good book/ read/ when/ one/ was young/ can influence/ one/ through life.
良い本/ 読んだ/ 時に/  人が/ 若かった/ 影響することができる/ その人/ 人生を通して

のように区切って読むのです。区切り方は必ずしも決まっていないようで、もっと大きく区切る人もいます。頭から訳していくことで英米人と同じように文章を理解できること。『返り読み』をしない分、速く読める。そんなメリットがあります。

デメリットは無いように思っていましたが、日本語らしい日本語に直してくれと言うと、なかなか良い文章にならない人が多いということに気づきました。当初、英語の問題ではなく、日本語力の問題だと簡単に考えていたのですが、どうもそうとばかりは言えないように思えてきました。英語と日本語の文章構造の違いは英語と日本語の思考スタイルの違いであり、スラッシュ・リーディングによって訳出された文章は良質の日本語とは言えず、更にもう一度頭の中で『返り読み』しつつ、まともな日本語にしなければならないのではないかと。

スラッシュに区切ることで語群と語群の関係が遮断され、その関係が不明になる。それを補うために日本語は豊富な助詞を持っています。助詞が無く、語順によってそれを補う英語のような言語とはその点で大きく異なっています。

漢文のレ点、一二点などはまさに『返り読み』のための必須アイテムです。更に、送り仮名もついていないと読むのがとても困難です。

大意を掴む程度ならスラッシュ・リーディング。それを良質の日本語にするのなら、斜線で区切られた日本語を継ぎ合わせるのではなく、もともとの英文と格闘すべきなのでしょう。

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