2013年2月21日木曜日

模範解答

今回の入試では記述問題が大幅に増加しました。一見良いことのように思えますが、そうも言えないようです。

と言うのは、採点基準の公平化のため、記述のパターンに一定の様式があり、それも満たすものに部分点を与えると云う採点方法をとっているからです。そうなると、今後はその解答様式をステロタイプに模した勉強をすることになります。例え数学の証明であれ、記述式の解には多様な正しい表現が可能です。それをどこまで評価できるか、それが気になるのですが、今回の模範解答を見る限りあまり期待はできません。

かつて、数学者森毅氏が京大入試の採点について書いているのを読んだことがあります。入試では、幾つか用意した模範解答と全く異なる解を書く受験生が毎年います。その解の正誤を徹底的に考え他の教官とも相談する。そして、採点する。彼らは数学に人生を捧げた人たちだけに思考の意味と重さをよく分かっています。高々、受験生の、高校生の答案でも無視はしません。徹底的に理解し考えます。そして、そこから有能な若者が見出され育ってくるのです。

思考力を見ると謳って始まった記述問題重視が、皮肉にも思考の固定化を促す役割をする、そんな気がする模範解答でした。

0 件のコメント:

コメントを投稿