” 飛 行 機
見よ、今日も、かの蒼空に
飛行機の高く飛べるを
給仕づとめの少年が
たまに非番の日曜日、
肺病やみの母親とたつた二人の家にゐて、
ひとりせつせとリイダアの獨學をする眼の疲れ……
見よ、今日も、かの蒼空に
飛行機の高く飛べるを ” (石川 啄木)
大学の寮の白壁の天井に、この詩の落書きが大きく書いてありました。18歳の私は毎晩それを眺めながら眠りに入りました。何時、誰が書いたものだろうか等と考えながら。
冬の澄み渡った蒼空を、銀色のジュラルミンの機体を陽に輝かせ、遥か上空を飛び行く飛行機。啄木を含め、殆どの日本人が飛行機に乗ったことの無い時代でした。その下の下の下。つつましい生活の中で独学で英語を学ぶ少年。飛行機は希望か神かそれとも・・・・・そして、その少年は一体誰?、私? それともあなた?
0 件のコメント:
コメントを投稿