2009年7月2日木曜日

小学生のうちに身に着けたいこと・・・学習習慣について

①毎日決まった時刻に机に向かう.
学校から帰ってきたら直ぐ机に向かうのが理想です.おやつを食べたら,ゲームを少しだけした
ら,ひと休みしたら,テレビを30分だけ見たら等々しているとなかなか勉強のきっかけがつかめません.ひと勉強してから休憩するようにします.
②毎日一定量の勉強をする. 
学習時間より学習内容で勉強の量を決める方が良いというのはその通りだと思います.「2時間勉強しよう」というより「この問題集の5~7ページまでやろう」という方が効果的です.
ただし,これは自分で学習の管理ができる中学生(?)・高校生または親が学習の管理をしている場合でないと困難です.自分で学習の管理できない殆どの小学生,あるいは多くの中学生はやはり一定時間を学習の量と決め,少しずつ自立した勉強(自分で考えて学習していく勉強)に移行していくこになります.
尚,勉強のひとつの目標は高校や,大学に合格すること以上に,自立した学習態度を身に着けることだと思います.
③その日の気分により学習が左右されない.
今日学校が楽しくなかった.今日友達とけんかした等の感情や気分によって,その日の勉強を止めたりしないようにしましょう.どのような日も,特別の事情が無い限り,いつもと同じように勉強
をする習慣をつけます.安易に例外(今日は~だから,勉強は止めておこう)を作らないようにし
ます.
もうひとつ.先生が嫌いだからその教科が嫌いになって成績が落ちた.この手の話はとても多く
あります.もし,一生涯,好きな,尊敬できる先生に恵まれたのなら,それは望外の喜びです.しかし,そのようなことはめったにないし,相性の悪い先生も尊敬できない先生も存在します.そのことを,不勉強の理由にしないように.勉強しない理由を自分の外に作らないように注意します.
④分からないことをその場で処理する習慣をつける.
分からないこと,できなかった事はできるだけその場でできるようにしましょう.書けない漢字は
その場で練習し,できなかった問題はその場で解き直す.知らない場所は地図を見ておく.いつか,知らないうちにできるようなっているとは考えないほうが良いでしょう.新聞の余白に漢字をを書いている友人がいます.書けない漢字を見ると必ずその場で書いているのです.
⑤文字を読む習慣をつける
新聞,本,その他,様々な文字情報を読むことが苦痛でないようにしておく.いくらか難しい文章
読むようにする(読書に負荷をかける).易しい文章を沢山読むことは余り意味が無いでしょう.テレビを見る,ゲームをする,携帯を使う.こうした時間を制限すると読書をする時間が増えるかもしれません.
文を読むことが楽しくなるには,ある程度の速度で文章が読めることが前提です.1時間かけて,1ページの英語を読むといった読書には多くの喜びはありません.その為には,ある程度の漢字が読め,ある程度の言葉の意味が分かる(英語ならある程度の単語を知っている)ことが前提です.その意味でも,漢字の復習は急がなければなりません.
⑥注意力を養う.
同じ間違いを繰り返す.分かっていることを間違える.設問に正しく答えていない.こうした間違えは多くの小学生(中学生)にあります.その理由のほとんどは分かっていないからなのではなく,
注意が散漫だから起こる間違えです.これは簡単にはなおりません.繰り返し,口すっぱく,忍耐強く指摘して,やっと少しづづ直っていきます.
同じことは解答の詰めの甘さにも現れてきます.ある問題を見て,”これはできるだろう”と考えても,その問題ができるわけではありません.最後の最後までイメージできて”できる”といえるのであって,小学生の”できると思う”や”多分できる” そして,”だいたいできる”はかなり怪しいものです.最後のところが本人にも分かっていないことが多いようです.
⑦忍耐力を養う.・・・苦労して身に着ける
戦前の漢文の授業は白文(返り点などが何もついていない漢文)を繰り返し読んだそうです.やがて,漢文や古文そして,現代文でさえ返り点や振り仮名やその他の注が着くようになりました.最近の大学受験参考書は「面白いほど分かる数学Ⅰ」とか,「ごろで憶える古語・ゴロゴサーティーン」とか「裏技で解くセンター国語」といったものが主流になりつつあります.精神論的学習法から技術的学習法へ大きく様変わりしてきました.
勉強は努力ではなくて,技術なのだという考えです.それが極端になると,“偏差値30から東大合格すには血のにじむような努力ではなく,効果的な秘密の学習法と,高価な書店には売ってない参考書なのだ”という考えになります.
そのせいか,勉強の方法(技術的方法)を気にする父兄が増えてきました.”勉強の仕方を教えてください”.”勉強の楽しさを教えてください”というものです.確かに,勉強の仕方はありますし,勉強の楽しさもあります.しかし,それらははじめから身に着くものでないことは勉強してきた全ての人が知っているはずです.
小学生がスイミングスクールに行くとします.通常,一通り泳げるようになるのに,数年を要します.水泳の仕方も,水泳の楽しさも1年やそこいらで分かるものではありません.そこでは,水泳の仕方を学ぶことが水泳を学ぶことそのものです.ところが,勉強となると勉強の仕方と勉強の内容が別だと考える人が多くなります.
私自身は”勉強の仕方”は,少なくとも”箸の持ち方”よりは難しいと考えています.10年近く箸を使ってたのに正しく箸がもてない小学生を探すのは簡単なことです.勉強の仕方を身に着けるのにはそれなりの時間と努力が必要で,その努力の先に,効果的な学習法や面白いほど分かる数学があるのだと.
たとえ,どんなに楽しくて,簡単で,効率的な数学の学習法があっても,注意力が散漫で,意欲が無く,忍耐力が無い子供がそれを身に着けることはできません.総理大臣でも小学生でも九々を覚えるのに同じだけの努力が必要なのです.中学, 高校と進むにつれ技術的要素が極端に増えてきます.それゆえ,小学校の段階こそ,「学問に王道なし」を教えなければならないと思います.
⑧復習する習慣を持つ
勉強しない理由を聞くと「何を勉強すればいいのか分からない」と答える生徒が多くいます.父兄からも「うちの子は勉強の仕方が分からないので,・・・」という話を良く聞きます.
話が余りに一般的なので,具体的なアドバイスは難しいのですが,宿題や早急にすべきことがないのなら,「今日学校でやったことの復習をすること」です.
「今日学校で何を習った?」という質問に直ぐに答えられる生徒は案外少ないものです.5分でできる最も簡単な復習は今日学校で何をやったかを思い出すことです.数学は何々をやった.英語は何々をやった.国語は・・・と言えるだけでも.言えない人に比べて大きなアドヴァンテージです.数学は文字式をやった.英語はBE動詞の疑問文をやったといえる人は頭の中の白地図に番地をふった人です.その番地を頼りに,さらに詳しい情報を探したり,身に着けたりできます.逆にその番地が無い人は,めちゃくちゃに突っ込まれたたんすの中の一対の靴下を探すのに多大な時間を費やすことになります.
まずは勉強の最初に,復習から始める習慣をつけましょう.具体的には今日何を学んだかを言
葉で言えるようにすることから始めます.

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