2009年9月15日火曜日

コピーレフト

 詩人の谷川俊太郎氏や俳優の米倉まさかね氏らが、著作権に関して、ある塾用教材出版社を訴えたという新聞記事を目にしました。その出版社は塾関係の会社としては割りに有名です。
 国語の教材として、許可無く使用されたということのようです。出版社側は代理店を通じで許可を取っているといっています。事の真相は部外者にははかりかねるのですが、少し気になることがあります。
 谷川俊太郎の作品はともかく、米倉まさかね氏の作品に触れる機会がそんなにあるとは思われません。氏は私の尊敬する俳優ではありますが、作家としての彼の作品に出会ったことはありません。
 本を読む機会が少ないと言われている今の子供たちが、文章を読む数少ないチャンスは塾の国語教材だったりします。そこで扱われていた作品に感銘を受け、やがて、本屋でその作者のものを手に取るかもしれません。
 かつて、批評家小林秀雄の作品は大学受験に最も出題されており、それを契機に小林の世界に入り込んでいった数知れぬ読者がいたはずです。米倉氏の作品に触れる貴重な機会をこの訴訟によって失ったのではないか?とも思えます。
 最近、入試問題を見ていると、国語の問題が著作権の関係で掲載されていない場合が多くなっています。知的所有権の重要性は十分認識していますが、もう少しやりようがあるのではないかと・・・
 文化の伝播を考えるとき、単にコピーライトを主張するのではなく、堂々とコピーレフト(コピーフリー)を主張する人が増えてきても良いように感じます。そして、米倉氏はそうした部類の文化人だと思うのですが。

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